自分に合っているのかわからなかった将来。
でも芹梨がそう言ってくれるから、一気に自信がわいてくるから不思議だ。
『就職は、そういう仕事なんだよね?』
「うん。一応アパレルの会社。芹梨は?」
『あたしは…未定』
そう言って、頼んだサラダをフォークでつつく。
そこでふっと、あんまり聞かない方がいい事を聞いてしまったんじゃないかと思った。
芹梨の耳の事。
それを考えたら、就職とか、そんなに簡単じゃないんじゃないだろうか。
何か言おうと思った時に、俺の頼んだランチプレートが来た。
『美味しそう』
芹梨が笑顔で手話をする。
その笑顔は、俺が言った事をあまり気にしていない様にも思える。
「芹梨、少食?」
『何で?』
「前の飲み会の時もあんま食べてなかったし、今日もサラダだけだし」
遊園地の日も、他の皆はポテトや唐揚げ等つまんでははしゃいでいたのに対して、芹梨はほとんど何もつままずに飲み物を飲んでいた気がする。