「芹梨」


人を見つけるのが下手なのか、未だに俺を見つけられない芹梨に声をかける。

ようやく視界に入れてくれた芹梨は、満面の笑顔で『おはよ』と言った。


ヤバい、可愛いって。


『今日、ごめんね。付き合ってもらって』
「全然。行く店決めてる?」
『うん。あたしなかなか決められないから、アドバイスよろしくね』

そんな会話をしながら、今からデートなんだという実感がようやくわいてきた。


街を歩く。その隣に、芹梨がいる。

それだけでにやけそうになるのを抑えるのに、必死だった。