大袈裟に立ち上がり、飲み物買い出しをかけたじゃんけん大会を提案する圭吾。
いちいちリアクションがでかすぎる。どんだけテンション高いんだよ。

「女の子はいいよ。男で決めよ」

紺がそう言ったから、男三人でじゃんけんする事になった。

両手を組んだ圭吾が叫ぶ。

「いくぜー!じゃーんけーんっ」




…昼時だからか、売店には列ができていた。

あと何人だ?ギリギリ列の先頭が見える位置で、俺ははぁっとため息をついた。

別にじゃんけんに負けたのが悔しかったわけじゃない。
あの圭吾の間抜けな掛け声のじゃんけんで負けたのが、何だか腹がたった。

つか、むしろ、「行ってらっしゃ~い」と暢気な笑顔の圭吾に腹がたったのか。

圭吾だけ生ぬるい牛乳にしてやろうか。

そんな策略を練っていたら、ぽんっと肩に何かが触れた。

振り向いて、驚く。

そこにいたのは、芹梨だった。

「え、どしたの?」

思わず手話を忘れて聞く。

芹梨は俺の慌て具合とは反対に、落ち着いた笑顔で言った。