俺が目を丸くして芹梨を見ると、芹梨は携帯を指差した。『見て』、ということか。
『昨日、メール返せなくてごめん。充電切れてて、気付いたのが夜中だったから、遅くに悪いと思って返さなかったの。』
そして最後に一言。
『今日、すごい楽しみだった!1日楽しもうね。』
読み終わった俺は、芹梨に再び視線を向ける。
その笑顔には、可愛らしいえくぼが現れている。
その笑顔も、芹梨らしいメールの返信も、俺の鼓動を速めるには十分すぎる材料だった。
「おっ、来てるじゃん!はよ~!」
丁度その時、圭吾と紺が来た。
ぶんぶんと手を振る圭吾に、芹梨も笑顔で手を振り返す。
…いいタイミングで来てくれて助かった。
赤くなってそうな頬を隠す様に、俺はなるべく自然に帽子を被り直した。