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その遊園地は、俺の住んでいる所から電車で20分もあれば着く場所だった。
休日は親子連れが目立つ賑やかな場所だが、平日はそんなに混んでいるのを見たことがない。
目新しいアトラクションがあるわけでもないそこは、謂わば地元住民専用の遊園地となっている。
今日は日曜日だから、親子連れや中高生、カップルがちらほら見えた。
腕時計を確認する。9時50分。待ち合わせ10分前。なんとまぁ優等生な俺。
勿論まだ誰も来ていなくて、俺は近くの花壇に腰を降ろして行き交う人の観察を始めた。
今日はようやく春らしい気候が訪れていて、人々の服装も心なしか軽やかになっている。
絶好の行楽日和のはずなのに、俺はすっきりしない気持ちを抱えていた。
…芹梨からの返信は、ないままだ。
大した内容でもなかったし、いつもの俺ならそんな事気にしないはずなのに、芹梨の事になるとどうも調子がおかしい。
携帯をチェックしかけて、やっぱりやめようと視線を動かした時だった。