「気にしても禿げたるもんは禿げるって」
「お前…親父ふさふさなのかよ」
「お陰様で。遺伝で禿げるこてはないな」
「俺、親父もじいちゃんも禿げなんだよな…って、そうじゃなくて!」
真剣に頭を抱え始めていた圭吾は、気付いた様に声を上げて言った。
「お前、俺にそんな口叩けなくなるぜ?」
「『ぜ』って何だよ」
「これなーんだ」
わざとらしく取り出した物を、ヒラヒラと顔の横で動かす。
長方形のそれは、どう見ても。
「…何のチケット」
「ふっふーん。THE・遊園地」
自慢気に机に投げた六枚のチケット。
それは、見覚えのある近場の遊園地のものだった。
「どしたのこれ」
「バイト先の先輩にめっちゃ頼んで譲ってもらったんだよねー。来週の日曜日、あいてる?」
「は?何で俺がお前と行かなきゃいけねんだよ」
「俺だって男二人では行きたくねーよ」
そう言って見せてきた、携帯のメール画面。
俺は眉間にしわを寄せてそれを見た。
『ほんと?チケット手に入ったの!?じゃあ、来週の日曜日くらいに皆で行かない?』