「芹梨ちゃんって…あの芹梨ちゃんだよね?」
「一人しかいねーよ」
「見つけたの?」
「たまたま…街で」
ほぉ、と、紺はまじまじと俺を見つめて、あの独特な笑顔で言った。
「執念だねぇ」
「だから、偶然だっつの」
「それで、何でそっから合コンなの?」
そう。そこなのだ。
俺は軽くため息をついて、「頼まれたから」と呟く。
「ファッションショーのお礼、何かさせてって言ったら…合コンセッティングして欲しいって」
そう芹梨は、スケッチブックに書いたのだ。
…「合コン?」
俺が聞くと、芹梨はコクンと頷いた。
『うち女子大だから、出会いないじゃん?友達とかみんな、合コンしたいってちょうど言ってたから』
芹梨の書く文字を追いかけながら、予想外な展開に驚いている自分がいた。
合コンって。
無理じゃないけど、何だかまた、芹梨のイメージとはかけ離れている単語だと感じる。
躊躇っている俺に気付いたのか、芹梨はスケッチブックに目を落とす俺の目の前で手をはたはたとさせた。