『どうですか?』


そう言って、芹梨が身に纏っているドレスの裾をつまんで見せた。


真っ白な。

それは、真っ白なドレス。


その世界の中で、うっすらと控えめな桃色のレースが揺れる。

シンプルだけれど、そのドレスには俺の芹梨に対する思いを全て詰め込んだ。


初めて会った、あの日。


まだ桜の咲かない木を臨んでいた、その真っ直ぐな瞳。


俺が、その桜を咲かせてみせたかったんだ。


『綺麗だよ』


微笑んでそう伝え、俺は手に持った紙袋からコサージュを取り出した。