「…今の芹梨のドレスは、俺には荷が重すぎる」
それだけ言うとようやく力が抜け、真二はそれを見計らって俺の手を圭吾の胸ぐらから離す。
俺は多少乱暴に真二の手を払い、バツが悪そうに呟いた。
「…代わりのモデルは探すし、代わりのドレスも、12月中には描くから」
それだけ言うと、納得のしない表情をしているメンバーの間をすり抜けて教室を出ようとした。
が、入り口に目を向けた瞬間、俺の足はぴたりと止まってしまった。
俺の動きを見た周りも入り口に視線を向け、同じ様に固まる。
入り口に戸惑いながら立っていたのは、伊織ちゃんと、他でもない、芹梨だった。