「プロじゃねぇよ。ただの学生だよ。本物のプロからしたら、俺等のショーだってドレスだってお遊びの一環だよ。芹梨は…」
俺の脳裏にあの純白の世界が広がる。
横たわる芹梨。息苦しい程のストロボ。
どれも、俺のいる世界ではない。
本物の、世界。
「芹梨は、こっちの世界の人間じゃない。そんな芹梨に着せるドレスなんて…俺には描けない」
いつの間にか立ち上がって言っていた俺に、全員二の句が継げないでいた。
多分、俺の言うことが何を意味するのかわかったのだろう。
少なくともこのメンバーは、芹梨がモデルの仕事を始めたのを知っている。
そしてそれを知らなかったとしても、去年のショーを見ている。
それで十分、伝わるはずだった。