昨日芹梨が着ていた真っ白なドレス。
シンプルなのに、芹梨の美しさをより引き立てるデザイン。
あんなドレス、俺には作れない。
俺が芹梨を、あの真っ白で美しい芹梨を、汚してしまう。
体内がぐっと熱くなり、俺は力任せにスケッチブックを引き裂いた。
部屋中にびりびりと紙が裂ける音が響き渡る。
でもその音は、芹梨の耳には届かない。
俺の醜い汚い感情は、芹梨には届かない。
それでいい。
そうじゃなきゃ駄目だ。
俺と芹梨は、世界が違ったんだ。
びりびりに裂けたスケッチブックをゴミ箱につっこんで、肩で息をした。
ゴミ箱の中でカラフルな破片が泣いている。
俺は唇を噛みしめて、それをけっ飛ばしたい衝動を抑えた。
そのまま乱暴に床に座り、頭を抱え込む。
ベッドでは何も知らない芹梨が、小さく呼吸をしながら眠っている。
…俺には、芹梨のドレスは作れない。