9月に入ったが、まだまだ夏日は続く。
大学も夏休み真っ最中だからか、夏気分は一向に抜けないままだ。

あのショーの日から、俺と芹梨は所謂『彼氏彼女』の関係になった。

だからといって何が変わる訳ではない。

相変わらずたまに外で会って、ご飯を食べたり買い物をしたり。

ただ、俺の部屋に来る日が増えた。

比例する様に外食は減ったし、『これをしよう』という目的を持って会う事も少なくなった。

ただ会いたくなったら会う。
することがなくても家でのんびりしたり。そういう面ではやっぱり少し変わったのかもしれない。

「そういや今日、話あるって言ってたよな」

食べ終わり二人で食器を洗った後、俺はふと思い出して言った。

昨日芹梨からそうメールが入っていたから、俺のバイトの後に家でご飯を食べようとなったのだ。

『あぁ、うん』

カチャンと芹梨は拭き終わった食器を置いて、リビングに戻る。

何か言いにくい話なのだろうか。
まさか別れ話…は、ないか。まだ付き合って一ヶ月もたってないのに。

俺も手を拭いて、芹梨の向かい側に座った。

いつになく真剣な表情の芹梨。

俺はうつむき加減の彼女に、『どうした?』と聞いた。