成る程、ちゃっかり夏のイベントを満喫してるわけですか。
俺はにやける圭吾の脛を見えない程度に蹴ってやった。

「海以来だね」
「そっか、そんな会ってなかったんだ。他の子とは会ってる?」
「いや、俺は全然。遥は?」

伊織ちゃんと話していた紺が、俺に話をふってきた。
クーラーのきかない部屋に負けて、既に溶けだしているアイスを一口で半分かじり、答える。

「会ってない」
「芹梨ちゃんは?」
「まぁ、連絡はしてるけど…」

会ってない。

そう、海に行った日以来、俺は芹梨と会っていなかった。

タイミングが悪かったと言えばそれだけだ。

たまたま二人でご飯にいこうと約束していた週に、芹梨が夏風邪をひいたのだ。

大事をとって延期にしてたら、今度は俺が風邪をひいた。
病み上がりの芹梨に移しちゃ悪いと思って、また延期にしてたら後輩からのヘルプの連絡。

そんなこんなで、今日まで会えずにいた。

「あたしも芹梨とは会ってないなぁ」
「また近々飲み会でもするか」

圭吾はぺろりと自分のアイス(しかも二本も)食べて、そう言った。

俺も自分のアイスを全部食べきり、ゴミを圭吾に渡す。