大体夏休み中にショーをするのが間違ってるんだ。
健全な大学生なら遊びを満喫したいと思うのは当然。そんな誘惑だらけの夏に、真面目に勉強なんかできるわけがない。

そういう誘惑を乗り切ることもこのショーの課題の一つなんだと、俺はそう思っていた。

「やってるね~」

バタンとドアが開いたかと思うと、暢気な圭吾がひらひらと手を振っていた。
今一番見たくないアホ面。

そんな圭吾の後ろからひょこっと顔を覗かせたのは、久しぶりの伊織ちゃんだった。

「あれ、珍しい」

紺もこの珍客に驚いたのか、動かす手を止める。

「圭吾君に二人が後輩の手伝いしてるって聞いたから。陣中見舞い」

そう言って差し出されたアイスは、夏には嬉しい冷たそうな空気を放っていた。

さすがは女の子。ポイントがよくわかっている。

圭吾だとこんな期待は出来なかったな。そう思いながら、俺達は手を止めて休憩に入ることにした。

「ありがと。何か久しぶりだな。焼けた?」
「うん。こないだ圭吾君と夏フェス行ったから。野外だし超焼けちゃった」