手を離した瞬間、あかりの視線が芹梨に向かった。

困惑した表情で、あかりを見つめる芹梨。

あかりはゆっくりと、口を開く。


「あんた…遥の今カノ?」


その、あかりの無責任で陳腐な言葉に、俺はかっとして叫ぶ。


「ちげーよっ!」


違う。お前にそんな簡単に言われたくない。

芹梨との関係を、あかりの言葉に現されたくなかった。


「行こう」

俺は無理矢理芹梨の腕を引っ張り、砂浜を歩き出す。

「遥!」とあかりの声が追いかけたが、俺は無視して足を進めた。

芹梨は転びそうになりながらも、俺の後ろをついてくる。



当然ながら、芹梨は、何も言わなかった。