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芹梨と会う場所は、いつも大体決まっていた。
俺の家と芹梨の家はそんなに離れていなく、駅で言えば二つ分だ。
芹梨の家の近くの駅周辺に芹梨お気に入りのカフェがある。
大体そこか、もしくは俺の家の近くのスタバで会うのが常だった。
今日は俺の家の近くのスタバだった。
軽く夕食を済ませて、待ち合わせのスタバに向かう。
いつも大抵俺の方が早く来るが、今日は芹梨が先に席に座っていた。
「お疲れ」
文庫本に視線を落としている芹梨の目線の下で、はたはたと手を振った。
びっくりして顔を上げた芹梨は、俺を見て苦笑しため息をつく。
『びっくりするから、普通に来てよ』
「普通じゃん。芹梨が集中しすぎなんだって。何読んでんの?」
俺は芹梨が差し出した文庫本の表紙を見る。よくわからない、難しそうなタイトル。
「…芹梨の趣味?」
『違うー。学校の課題。読んでると眠くなっちゃう』
肩を落としてそう言う芹梨に、俺は笑って文庫本を返した。