確かに、俺のデザインした服を着て欲しいのは、紛れもなく芹梨だ。

でもファッションショーとなると、あまりいい思い出はない。


芹梨と出会えた場所でもあるが、同時に、芹梨を怒らせた場所でもあるから。


「とりあえず、打診しといてよ。まぁショーはまだまだ先だし、軽く聞くくらいでいいし」

相変わらずお気楽な紺はそう言って、真二と飲み比べを始めた。

まぁ確かに、紺の言う通りだ。

今度会った時、軽く聞いてみよう。
そう思って、俺も手元の酒をぐっと飲んだ。