カッターの刃がツ、と私の頬を撫でた。 一瞬、首がすくんだ。 「……私は心中なんてしないわ」 「強がるなよ」 「強がってなんかないわ」 「俺が怖いだろ?」 「………」 真っ直ぐに彼を見つめる。 やけに冷えたカッターの刃が、私の神経を摩耗させる。 「貴方狂ってるわ」 怖いか怖くないかには答えず彼を見つめ続けると、彼の瞳がほんの少しだけ揺れた気がした。