「焦らさないで」 今度は自分からキスをした。 「……ミーナ」 優しい声に心が揺れる。 いつかこの声を聞いた気がする。 気のせいな気もする。 不思議な男だ。 首の後ろを支える手の温もりが離れなければいいのに。 しかしその願いも虚しく、不躾な声が私達を引き裂いた。