友梨は苛つきながらも、ため息をついて、いがぐりを睨む。
「‥隼人、うるさい。」
教室のドアをぶっ壊し、笑顔でアリスの教室へとはいってきたいがぐり
‥すなわち隼人───片桐隼人[カタギリ ハヤト]はいがぐり頭を掻きながら、でヘヘッと人なつっこい笑顔で笑っている。
「‥全く‥。隼人、ドアなおしてきなさい?」
「えー!ドアなんか別にどうでもいいじゃん!」
からからと笑って言う隼人に友梨が一喝する。
「は、や、と?直してきなさい。」
「は、はいっ!」
友梨に黒い笑みでそう言われた隼人は身の危険を感じ、踵を返したのだった。
ガタガタッ
そんな隼人を見て、友梨は満足そうに見ながら安堵のため息をもらす。
「‥ふぅ、ったく。」
「なぁなぁ友梨、アリスまた寝てんの?」
「そうよ。ここのとこずっと寝てばっかり。‥聞けば学校以外は朝から夜まで毎日ずっとバイトしてるらしいし‥生活費だってあるはずなのに何でそんなに根詰めて‥。」
「‥友梨って友達思いだな!心配してんだろ?」
「な‥っ!ち、ちが‥っ!」
隼人にニシシと言わんばかりに白い歯をみせながら言われた友梨は顔を赤くし
ながら否定にならない否定をした。
「俺も‥心配だ‥。」
「隼人‥。」
そしてぽつりと呟いた隼人を友梨は見つめた。
そして隼人は優しく笑い、アリスを見つめるその瞳には哀しげな色をしていた。