白衣を着たヤンキー
‥のような男の人がどす黒いオーラを放ち、微笑んでいた。
教室内が氷点下と化す。
「おい、アリス。俺様の授業で居眠りたぁ、良い度胸だな?」
言い方は優しく、しかしその低い声には明らかな怒りが込められていた。
(やっ‥やばっ‥)
「りゅ、龍ちゃん‥」
アリスは冷や汗が背中を伝っていくのを感じていた。
「そーかそーか、お前そんなに俺様の日本史がすきなんだなあ。」
「いや、きら「仕方ないなあ。そんなにすきなら俺様が放課後職員室で可愛い可愛いアリスだけに特別授業してやるよ。」
「いや、私かわいくな「来 る よ な ?」
(ヒィッ!こっわ‥!)
にっこり、しかし有無を言わさないその何人の女の人を落としてきただろう、煌びやかな王子様スマイル(オーラはどす黒いが)で、
日本史担当教師の龍ちゃん───稲田龍一[イナダ リュウイチ]はアリスにそう告げた。
途端に周りから黄色い声が聞こえる。
それもそのはず。
龍一はこの学校で白衣の王子様と呼ばれているのだ。
そして自他共に認めるイケメンっぷりで、老若男女問わずモテモテなのだ。
しかし、龍一とは幼なじみのアリスは
どう間違ったらこの真っ黒大魔王を王子様と間違えるのだろう。
そう心の中で悪態をつき、涙目になりながらも
「ふぁい‥。」
と適当に返事をするのだった。
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