頭上からテノール風の優しい声色が聞こえる。




(だ、だだだだだ誰?!)




いきなりかけられた優しい声にアリスは内心ドキッとした。




(ってか、うひゃあぁぁぁあぁ‥み、みられたっ!?は、恥ずかしい‥っ)




「え、ええ。大丈夫よ。‥少し痛いけど‥ね。‥‥え?」




平静を装い、声の主に答えながら頭上を見やる。





‥と、アリスは目を見開いた。








そこには、純白のフワフワな毛をまとい、天に向かって伸びる長い耳を持ち、‥っていうか、笑顔のうさぎさんがいたのだ。




しかし、普通のウサギではなく‥二足で立ち、片眼鏡をしており、その手にはしっかりと金色の懐中時計が握られていた。




「それはそれは、良かったです!」




白うさぎは嬉しそうに顔をほころばせ、アリスに笑顔を向ける。




(ぅあ‥きゅんとキタ‥か、可愛い‥っ)






可愛いもの大好きなアリスには悩殺ものだったらしい。



思わずニヤニヤしてしまう。


どこからどうみても不審者だ

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