急いで着替えようとするんだけど、逆にもつれてうまくいかなくて。靴下をはこうとしたら、バランスを崩してふらっ…。



 「ぎゃっ!」



 ひっくり返るっ…と思った瞬間、陽華姉に軽く支えられる。
 「もうっ、逢音ったら、何やってんの?少し落ち着いたら?逢音の遅刻なんて、今に始まったことじゃないし、担任の先生、ため息ついて終わるんじゃない?」そう言って軽やかに笑われる。



 …そんな諦められ方、嫌だし。
 ってか違くて。




 「みんなに「あーあ、また」って顔されるのが嫌なのっ!もう行くね」



 お姉ちゃんズの傍を駆け抜けて部屋を出ようとした瞬間、樹李姉に「お待ちなさい」って声をかけられて、リボンに触れられる。



 「リボンが曲がっていて、だらしがありませんわ。わたくしの妹たる者、もう少し品良くして頂かないと」




 遅刻しそうで慌ててるのと、お姉ちゃんズの正論に頭がパニックを起こしてる。あ、違った。



 もう一度駆け抜け様に、お姉ちゃんズに声をかける。




 「樹李姉、陽華姉。起こしてくれて、よろけたの助けてくれて、リボン直してくれてありがとっ。行ってきますっ!!」




 お礼をして顔をあげながら、廊下に出た私の目の端に、お姉ちゃんズが微笑んだのが写った。なんだかんだ言って、可愛がってくれるの、わかってるもんね。感謝しないと。




 どどどど…と闘牛みたいに階段を下りてダイニング。
 「お母さん、お弁当っ!!」
 「はいはい…またお姉ちゃん達に起こしてもらったの?いい加減に自分で…」
 「わかってるから早くーーーーー!!!」
 「…全くもう…(ため息)」




 お母さんからお弁当をふんだくって、お父さんは…と見渡すと、
 「とっくに出かけたわよ。逢音も遅刻じゃないの?」




 …そうだったーーーーー!!!!