「御社の~…」
うちの会社が説明をしているあいだ私はプリントを机に置いていった。
………あれ?
一枚あまった……?
そのとき 激しく会議室のドアがあいた。
「賛共商事の氷口と申しますっ。この度は申し訳ございませんでした。」
その社員は腰を90度にぴたっと曲げた。
「氷口君、とりあえず座って」
「はい…。」
氷口という社員は しょげながら席についた。
すかさず小百はコーヒー。
そして私はプリントを置いた。
「ありがとうございます」
その社員は 軽く頭を下げたあと 顔をあげた。
そのとき私はなぜか息がとまった。
その人の肌が綺麗だったとか
まつげが長かったとか
いいかおりがしたとか
そういうのじゃなくて。
理由もなく目が離せなかった。
ぱちぱち、とその人が驚いたように瞬きをした。
はっとした私はペコッとお辞儀をして会議室のうしろに向かった。
まだ呼吸が不安定な気がした。
このときPM3時――――――
これが運命の出会いって気づくのは
まだまだ先のこと。