「はいはい、もっと呑んで~」
俺はいま 新宿の居酒屋で女の子と合コンをしている。
相手は 25歳のショップ店員でかなりケバい。
香水がキツすぎて呑みたくても呑めない。
「氷口さんって27さいなんですよね?かなり若く見えますねー」
「…うん。ありがとう」
「あれ?もう酔っちゃった系?かわいー」
「ちょっと、トイレ行ってくるわ。」
俺は 勢いよく席を立ちトイレに向かった。
ああいうの 俺はものすごく苦手だ。
わかんないけどなんかやだ。
異様に長いまつげと爪。
眩しいくらいの金髪と くるくるのパーマ。
なんかなあ。
もったいない気がするんだよなあ。
……カツカツ
と後ろからヒールの音が聞こえた。
そしてすぐ追い越して行った。
その女の人は 涙を流していた。
そう、新宿の居酒屋で。
俺は持っていたハンカチを落とした。
それくらいその人は
美しかった。