『お疲れさまでしたー』
私のすぐ後ろで
恭太の声が聞こえた。
恭太が出てくるやいなや、
待ち望んでいた大量のファンの子が
私を追い越して恭太の元へ走る。
私は恭太がいるのにも関わらず
恭太の元へ行けない自分が
ひどく憎たらしかった。
・・・どのくらいの間、
立ち尽くしていたんだろう。
そう思って我に返った時、
『出待ちの子?』
『えっ・・・?』
後ろを振り向くと、
明らかに不思議そうな顔をした
貴之と李狗、・・・そして恭太。
『あっ…えっと、はい…』
『やっぱり!俺、来ないのかな…ってずっと思ってた』
どうやら貴之は私をずっと見ていたらしい。
その事を知って、顔が熱くなる。
『出待ちは初めて?もしかして、俺達のライブも初めてだったとか?』
恭太が私に話し掛ける。
それが夢みたいで嬉しくて、
気が動転しそう。
『あ…、ライブはもう結構通ってるんですけど、出待ちは…初めてで…。』
『そうなんだ!じゃあ俺らの事、結構知ってるんだね。基本的に出待ちってのはファンと俺達バンドマンの関わりを作る為にするものだから、もっと気楽に話していいんだよ』