ようやく、 いつまでも 横に 並ばない私に 気付いたのか、 佐々木さんの首が 少しだけ 横を 気にした。 そして、二歩、三歩ー。 階段の踊場に 着いた佐々木さんは、 ようやく後ろを向いて、私を見上げてくれた。 「どしたっ?」 いつもの優しい声だ。 少し かすれた、 子供の頃によく聞いたような、 あたしの 大好きな声。 泣きそうになるのを こらえながら、 黙って 踊場までの 四段を降りる私ー。