それは、まるで桜の精の様で。
...とっても綺麗。

顔がとても整っていて見る人が振り返りそうな容姿をしている。
私もつい、見入ってしまった。

暫くじっと見ていると彼が此方を見て、にこっと素敵な微笑みを浮かべた。

「っ」

かあああっと、顔に体温が集まるのが分かった。
耳も、首も赤い気がする。
だって、彼が微笑んだ姿は、とっても綺麗で...。
偶然だとしても、違っていたとしても、
私に向かって微笑んでいてくれたのが、嬉しかった。
再び彼のいた方に目を向けるともう居なくて、ちょっと残念。

仕方がないので前に目を向けると、先生が

「おい、鞍川。顔赤いぞ?熱あるんじゃないか。」

その言葉に香奈ちゃんが反応して咄嗟にこちらを向いたのが分かった。

「蓮!?大丈夫?!」

優等生の香奈ちゃんがここまで大声を出すのも珍しい。
...そんなに、顔赤いのかな?
香奈ちゃんが私の額に手を当てる。

「わ、凄い熱いよ?...保健室、行く?」

教室がざわつき始める。
先生が此方に寄って来て、私の額に手を当てた。

「...ふー。確かに熱いな、保健室、行って来い。斉田、連れてってくれるか?」
「はい、勿論です。」

私の意見も聞かぬまま、私は香奈ちゃんに連れられ保健室へと行く事になった。