教室に入って、ある程度の人と挨拶を交わし、自席に座る。
すると、私の前の席の、斉田香奈が、話し掛けてきた。

「おはよっ、蓮!」
「おはよう、香奈ちゃん。」

香奈ちゃんは同性の私から見ても整った顔つき。
頭もいいし、学級委員もしてる、私の憧れ。
なのに、その香奈ちゃんはいつも私に話しかけてくれる。
私以外に楽しい子はいっぱいいるのに。
それが、とっても嬉しくて、私は香奈ちゃんと話してるとつい、笑顔になる。

昨日の話をしていると、香奈ちゃんがこう切り出した。

「そう言えばさぁ、蓮、昨日公園に、居た?」
「...公園?何処の、かな。」
「ほら、あの、綺麗な桜の有る公園!」
「あ...うん。」

私は昨日の別れ話の事を言われているのだと、やっと把握した。
香奈ちゃんは「やっぱり!」と笑い、こう続けた。

「また告白?」
「んーん...、今度は、別れ話」

苦笑を浮かべて私は答える。
すると香奈ちゃんは、吃驚した顔になって、項垂れた。