「ですが…お嬢様。私は……」



執事ですから、と口ごもる高瀬にあたしは言う。


「家の事は、家令(ハウススチュワート)の中野に任せれば良いわ。他に沢山フットマンとか居るんだし、ダンスまでの半日位大丈夫よ。その代わり、あたしとあの…一緒に居てくれない?高瀬も休んだら?」


高瀬、ちょっと疲れてたみたいだったから。

悩んだりしてるみたいな気がしたから……。


「一緒に?お嬢様とですか?」


「そうよっそれともこんなワガママお嬢様と一緒には嫌かしら」


あたしが腰に手を当ててキッと見ると、高瀬はまだ思案顔で笑う。



「…いえ。一緒に居られるなんて幸せですよ?お嬢様の優しさに、この高瀬。胸がいっぱいです。」