「いらっしゃいませ。」


「ここです。」

幸と克哉はしっかりと身支度を済ませ、待っていた。

「一人なんですね。」
泰智には遠慮してもらった。
なにがあるかわからない。

「どうしますか?」
「ユキの家にお願いできますか。」

助席には克哉。
幸が一人後ろに乗った。
「行きますよ。」

車をいつも通りに走らせた。


幸は外の風景を眺めていることが多く、
多少の会話は克哉とが多い。

「なにか思い出した?」
幸は首を横に振る。

「あの‥
貴方と思い出の所へ行っていただけますか?」
「今?」
「‥できれば…」

思い出…

ハンドルを右にきった。





壁、塗り直したのか‥
「ここは‥」
「母校。」
幸とは中学から一緒。

ブルルル―…
携帯が鳴り出した。
仕事の催促か‥
今日休みくれるって言っていたのにな…

―朋―

「ちょっとごめん…」
少し二人から離れ、電話をとる。

『仕事中ごめんね〜』
「いや―‥」

―‥朋今でもフリーだよ‥―

『今日みんなで飲むんだけど裕一郎もどう?』
「いや、」
二人の楽しげな顔が目に入る。
幸の笑い顔‥再開してから見ていない。