しかし答えたのは隣の男‥克哉とかいう奴だった。

会話は途切れた。



「なんで記憶喪失の女を手元に置いたんですか?普通、警察行くでしょ?」
幸の親は捜索願いを出していた。

「それは…」

克哉はちらっと幸を見た。

「まだ俺がユキと始めてあった時には記憶はあったんです。」
гえ‥?」
幸も初耳だったらしく驚いていた。
「路上に倒れていて‥
大丈夫ですか?と声をかけると
大丈夫ですから…と。
あまり大丈夫そうではなかったので病院までと思ったんですが、
大丈夫。病院も警察もいらないです。
とそのまま意識を無くしました。結局そこに置いておくわけにもいかずアパートに連れていったら、次には記憶は失くなっていました。」
男は淡々と話す。
動揺とかはないようだ。
「誰かにやられたんすかね?」
泰智がこそっと耳打ちをしてくる。
「そう言われたって普通病院連れていくんじゃないですか?」
俺はどうも腑に落ちなかった。
「…何か事情がありそうで‥本人記憶以外は大丈夫そうだったので、なんとなく……」
男はそこで言葉を切った。

「あの‥!!」
幸が俺を見ていた。
「あの…」

「貴方は…」
俯く‥