私は仕方なくドアの前に座り込んだ。

「ユウタ手ぇ大丈夫?」

ユウタ、か。
聞き覚えはある。

たまにミナノの口から出る名前だ。

「ん…大丈夫。
俺の家にも猫いたし、慣れてるから」

「ホントごめんね…
部屋に男の人いれるの初めてだったから
ノロもびっくりしたんだと思う」

びっくりしたも何も
いまだに驚いている。

というか、嫉妬している。

「そんなに謝るなって、な?」

そうだ、そんなに謝るなミナノ。

「でも、だって…ミミズ腫れしてるし…」

そりゃあそうだ。
私はかなり本気でひっぱたいたからな。

「…じゃあ…キスして…?」

「え?」

え?

「たまにはミナノからキスしてよ…
…そしたら許したげるからさ」

いやいやいやいや待て待て。
黙って聞いていれば調子にのりやがって。

私は必死になってドアノブに手を伸ばす。

「……んっ…」

!?

「んん…ふ、ぁ…」


まさか。

まさかまさか。

本当にキスしたのかミナノ!?