化学の小テストは化学の授業後半にあるので、他生徒は授業そっちのけでテスト範囲の教科書を見ているのであった。が、健二は平林からの手紙を―書き出しと書き終えを完全無視して―読んでいた。

『我が親愛なる御影健二へ
職員室にこの紙を持って行ってくれ。渡す相手は尾崎教諭だ。渡せば分かる。頼んだぞ
同志、平林より』

「なんだ、これ……」

平林の字で書かれた紙には謎のアルファベットと数字の配列があった。

『VB4DGDY2@Y BYTEF……』

「意味が分からんな……その前になんで俺なんだ?……自分で持って行けっての……」

途中で読むのを止め、ブツクサ文句を言っていた健二は、いつの間にか前の座席から配られてきた小テストの解答用紙に目をやった。

「さ、やるか……」

健二はテストに向かった。一方その頃、谷口は、

「…………」

机に突っ伏して死んでいた。