ガチャリ、
朝の10時。部屋をでて鍵を閉めた。
眠い、眠すぎる。結局昨晩夜くんが隣の部屋に帰っていったのは夜中の4時。これはもう朝と言うべきなのか。
その後レポートに無理矢理取り組んでお風呂に入り、録画しておいた海外ドラマまで見てしまった。
(…自業自得、)
苦笑を漏らしながらストールで首もとを多い、頭を覚ますための珈琲を買いにコンビニへ急ぐ。
隣の部屋のドア前を通り過ぎたとき、妙に意識が引かれて中を覗いてみたくなった。
(…悪趣味。いくら隣だからって深入りしないようにしなきゃ)
そう、これ以上変なことされたらたまったもんじゃない。
私の心まで昨日みたいに洗脳されてしまう。
「――100円になります」
そうレジの店員に言われて、これくらい自販機で買えばよかったかも、なんて眠い頭で考える。
勿論ビニール袋はお断りして、缶を掴むとプルタブを開けながら外へでた。
『…あ』
〇〇警報。朝から鳴り響くそれは私の眉間に皺を寄せたらしい。
「また、変な顔してる」
失礼に遠慮なく呟かれる。
いつもと全く変わらない格好で、気怠げにその痩躯でかろうじて立つのは夜くんだ。
朝の寒風が彼の柔らかい黒髪を靡かせた。
その瞳は夜に会ったときよりも色素が薄く、些かパワーを失っているよう。
そう言えば、昼間は苦手なんて言っていたっけ。名前の通り夜が活力源なんだろうか。
(…なんで、朝から会うの?)