私は、とにかく、この状況を、この私の格好を何とか説明したい一心だった。

「私は、決して皆様に対し、失礼な格好で立とうとしたのではありません」

更に言葉を加える。

「今日は、朝から部下たちとサッカーをする気満々でおりまして、午前中の工場視察の作業着のままでいたのです」


だから何だと言われたら、そこまで、それでも私は続ける。

「そして、いざ着替えようかという時、このままネクタイを締めていたら、間違いなく午後からのプレゼンに間に合わないことに気づきました」

もう、精一杯、事実を伝えるしかない。

「しかし、私にとっては、今回のプレゼンを全うすることこそが『仕事』であると認識し、作業着よりはマシかと思える格好を急遽選択したのです」

私は、今の状況を打開すべく、最大限に言葉を選びながら、そう語った。