「失礼しまーす…あの、ここで塾をやってるという張り紙を見たんですけど…」
「はいはーいっ」

春。
ついに華の大学生になってしまった。
高校はそれなりと楽しかった。
だけど、今は私が何をしたいのかがわからない。
周りの皆は自分の趣味のサークルに入ったり、必死に勉強したりとすごく楽しそうだった。

「由里」

名前を呼ばれてとっさに後ろを振り返る。
幼なじみの暁人が息を切らして立っていた。

「暁人!ん、走った?」
「由里と帰ろうと思って。」

由里こと青沢由里、私と
暁人こと赤川暁人、彼は
家が隣ということで仲がよかった。

でも中学になると同時に暁人は引っ越して、喋ることもなくなった。

高校も同じだったけど、あんまり関わりはなかった。

だけど大学生になって、また小学生の時みたいによく絡むようになった。