「性教育について悩んでるんです。1年の生徒が、妊娠したかもしれないと保健室に来たんですよ。毎年あることなんですけど、今回は相手がうちの高校の3年生の子らしいんです」
自分が恥ずかしくなった。
俺・・・・・・バカだな、本当に。
正直言えば、もしかして水谷先生に好意を寄せられていたりしたらどうしようって本気でびびってたりしてたんだよな。
「1年生ですか?まだ入学したばかりなのに・・・・・・」
「そうなんですよ。それが、新垣先生のクラスの田嶋さんなんです。内緒にしてくださいね。入学してすぐに付き合い始めたそうなんです」
田嶋・・・・・・
とても真面目な生徒で、学級委員も引き受けてくれた子だった。
俺は、頭が切り替わる。
今まで、何を余計なことばかり考えていたんだろう。
俺は、教師。
水谷先生も教師。
俺が水谷先生に対して、何か他の人と違うものを感じていたのは確かだった。
それが、俺と同じ熱いものを持っているという共通点から来るものだったと気付く。