遠くに見える畑中達は、また違うグループの子に声をかけているようだった。
「新垣先生にもあんな頃があったんですか?」
「ははは。俺は、昔から不器用なんで・・・・・・ナンパとか全く経験ないです」
「モテたでしょうから、ナンパする必要もなかったんでしょ?」
「いやいや、そんなことないですよ」
俺は足元に落ちていた石ころを拾い、手のひらで転がした。
何、緊張してんだ、俺。
「本題に入りますね。ちょっと、深刻なんですけど・・・・・・」
俺は、その瞬間、旦那さんと何かあったんだろうか、とか、そんなことを考えた。
バカだった。
水谷先生は、どこにいても“先生”だった。