「ちょっと相談したいことがあるんですけど、いいですか?」
何やら真剣な表情で水谷先生がそう言った。
一瞬、体に緊張が走る。
「はい。いいですよ」
そう答えながら、俺は後片付けを始めた。
「片付け終わってからでいいです。ちょっと、真剣にお話したいので」
真剣な話?
何だろう。
「わかりました。じゃあ、片付けは後でみんなでやりましょうか。どこか場所変えますか?」
「どこか、ゆっくり座れる場所がいいかなぁ」
ゆっくり座れる場所?
何の話なんだよ、一体。
俺と水谷先生は、少し離れた階段に腰掛けた。
俺は、自分の腕が灰で黒くなっていることに気付く。
「汚れてますよ。大丈夫ですか?」
「あ、大丈夫です。すぐ落ちます。ほら」
俺はシャツの袖で汚れを落とした。
「シャツ汚れちゃいますよ。奥さん、洗濯大変じゃないですか~」
「あ~、本当ですね。でも、もう汚れちゃいました」
俺はそんな話をしながら、この先にどんな話が待っているんだろうと、少し怯えていた。