「え、ちょ、ちょっと待って?あたしのものって…。夏希、その大樹ってひとと付き合ってるの!?」

千裕がえーって表情を浮かべている横で、美怜は焦りながら夏希にきいた。

「そんなわけないじゃん(笑)ふざけてお互い好きーッ♥とか言ってるだけ。」

夏希はくしを制服のポッケにしまいながら、さらっと言った。

「なーんだ。びっくりしたー。」

美怜はちょっとがっかりした顔を浮かべた。

「あ、ちょっと気になったんだけど、夏希は大樹さんのこと好きなの?」

千裕がめずらしくまじめな顔をしてきいてきた。

夏希はその千裕の顔に驚いて、真剣な顔をした。

「うーん。まだ数日しか経ってないからよくわかんないよ。けど…」

夏希はちょっとうつむきながらボソッと言った。

「まあ、そりゃそうだよね(笑)なんかあったら教えてな!」

千裕は夏希が最後に小さい声でいった“けど”って言葉に気付かずに、千裕はまたいつもの気が抜けた顔に戻り、そのまま話しだしてしまった。

「うん…。」

夏希はちょっと曇った顔をしながら返事をした。

―――キーンコーンカーンコーン…―――

「あ、予鈴。じゃ、席つくね。」

美怜がそう言って、みんな席に着いた。

夏希は千裕に聞かれた時は曖昧な答えになってしまったけど、本当は自分の気持ちにうっすらと気付きだしていたんだと思う。