次の日から授業がスタートした。
 青葉北高校は、県下有数の進学校だから、授業のスピードはかなり速かった。
 まじめに予習しておかないと、あっという間においていかれるという先生の言葉を思い出しながら、私は必死にペンを走らせていた。

 放課後の部活動も、今日から本格的にスタートした。
 部活動の準備をして道場に行くと、優希が顧問の高橋先生と話をしているのが見えた。

 優希は私に気がつくと、先生に会釈をして駆け寄ってきた。
 「詩織~、私やっぱり剣道続けることにしたよ~。」
 「えっ!?本当っ!?」
 私は思わず叫んだ。
 「うん!また一緒に剣道しようね!」

 「やったぁぁぁぁっ!!!」
 抑えていた気持ちがあふれてきて、あまりの嬉しさに思わず優希に抱きついた。
 「あはははっ、大げさだな~、詩織は。」
 少し泣きそうになっていた。
 「だって・・・、優希もうやめちゃうと思ってたから・・・。すごく嬉しい!!」
 「本当はね、私も続けたかったの。でも、お父さんとお母さんが心配してくれてたんだよね。女の子なんだから無理に生傷増やすこともないだろって。けど昨日の詩織見てたらもう、どうしても続けたくなって、必死に2人を説得したら、そんなに好きなら好きにしなさいって言ってくれたの!」
 「そうだったんだぁ~・・・・。」

 お父さんとお母さんか・・・。そりゃそうだよね・・・。
 剣道って防具つけてても怪我は付き物だから・・・。
 女の子の親なら誰でも心配するよね・・・。きっと、私のお父さんとお母さんも・・・。

 マイナス思考になりかけている自分を振り払おうと、少し大きめに声を出した。
 「でも、本当に嬉しい!また一緒にできるんだね!」
 「うん!また3年間ライバルだね!」
 「負けないぞ~!!」
 「私だって~!!」

 笑っている私たちの所に、部長の桐山先輩がやってきた。
 「朝倉さん、早乙女さん、こんにちは~。」
 「あっ、桐山先輩お疲れ様です!」
 「先輩、私やっぱり剣道部に入部しま~す!」
 「おぉぉっ!ありがと~っ!経験者が2人も入ってくれるとは心強いな~。」
 「よろしくお願いします!」
 「期待してるよ~、2人とも~!」
 私たちは笑った。