廊下は新入生が沢山いて、ざわざわしていた。
 「みんな楽しそうだなぁ~、あぁ~ワクワクしてきたぁ~!!」
 私がそう言うと、優希はしばらく黙っていて、少し不安そうな顔で私を見た。
 「ねぇ、詩織~?」
 「ん~?」
 「無理・・・してない・・・?」

 優希はやさしい子だから、きっと私の境遇をすごく心配してくれてたんだね・・・。

 私は思いっきりの笑顔で答えた。
 「ぜんっぜん!ありがとね!優希!」

 優希は私の顔を見て安心そうな表情になった。
 「そっかぁ~、よかったぁ~。」

 5組の教室が近づいてきた。5組と6組の教室の間には階段とトイレが挟まっていた。
 「あぁ~・・・。教室離れてるし・・・。」
 優希は少しがっかりしたみたいだった。
 「あはははっ!こんなの近い近い!気にしない気にしない!」
 優希の肩を軽く叩いた。
 「それじゃあ、またね!」
 「うん。詩織、また3年間よろしくね!」
 「こちらこそ!よろしくね!優希!」
 優希に軽く手を振って6組の教室に入った。

 早めに来たつもりだったけど、教室にはもう結構生徒が集まっていた。
 高校初日だもんね。みんなワクワクしてるよね。
 自分の席を確認してそこに座った。