「まもなく青葉~、青葉~。」

 その車内アナウンスを聞いて私はドキッとした。

 もうついてしまった・・・・。あぁ、どうしよう・・・。

 電車が青葉駅に停車した。
 忘れ物がないか確認して電車を降りた。

 駅の改札口を出ると外は雪が降っていた。
 寒さと緊張で体が震えた。

 あぁ・・・、どうしよう・・・。緊張する・・・。落ち着かなきゃ・・・。
 必死で深呼吸するものの心臓の鼓動は早まるばかりだった。

 今日は青葉北高等学校の入学試験当日。
 前にも後ろにも青葉北を受験する人たちが、参考書を片手に沢山歩いていた。みんなすごく賢そうに見えた。

 私も英単語帳を両手に持って歩道を歩いた。

 えっと・・・。“experience”は「経験」、“expensive”は「高価な」っと・・・。あれ・・?“experiment”ってなんだっけ・・・。あれ・・・?“experiment”が「経験」?・・・じゃあ“experience”って何・・・?

 ・・・・・・・・・・・。

 あれぇ~~~~~。どうしようぅぅぅ~~~。分かんなくなっちゃった・・・・。あぁぁぁ・・・・どうしよう・・・・。どうしようぅ・・・・。
 頭の中は考えれば考えるほどこんがらかってきた。

 だめだめ!!とにかく落ち着かなきゃ!!
 私は受かる!!絶対受かる!!今まで頑張ってきたんだから!!

 「すぅ~・・・、はぁ~・・・、すぅ~・・・、はぁ~・・・。」
 白い息が目の前一面に広がった。そこにはもう青葉北高校の校門があった。

 あぁぁぁ・・・。着いちゃった・・・。ど、どどどうしようぅぅぅ・・・。

 校門の前には中学校の先生や、応援幕を持った塾の先生たちが大勢集まって、各々生徒にエールを送っていた。

 その中に1人青葉北の校門前で突っ立っている男の子がいた。