遥の写真が飾ってある奥の座敷で、俺と詩織は隣同士に座って手を合わせた。

 「いやぁ・・・しかし驚いたなぁ・・・。ここまで遥にそっくりな子がいるとはねぇ・・・。」
 おばさんが冷たい麦茶を持ってきてくれた。

 「そうですよね。僕も始めて会った時は本当に驚きました。」
 みんなして詩織を見つめた。

 「あっ、えっ・・・、あのっ・・・、その・・・。」
 動揺している詩織を見てみんなで笑った。

 俺は詩織と出会ったいきさつ、詩織の過去についてもおじさんたちに話をした。

 「そうか・・・、詩織さんも色々とつらい目にあったのだね・・・。」
 「はい・・・・。」

 俺は真剣な顔になっておじさんとおばさんを見た。
 「お2人には、まず最初に報告しなければならないと思ってました。定期テスト期間中で、報告が少し遅れてしまいました、すみません。」

 「そんなこと気にしてくれなくてもよかったんだよ。本当に君は誠実な子だな。」
 「勇治君が遥のことを大切にしていてくれていたのは十分分かってたのよ。あなたは私たちにとっても大切な子供みたいなものだから。」
 「その通りだ。君が幸せになってくれて、私たちは本当にうれしいよ。」
 「ありがとうございます。」

 おばさんは詩織を見た。
 「詩織さん・・・でしたっけ?」
 「は、はい!」
 詩織は緊張していた。
 「勇治君を幸せにしてあげてね。勇治君も詩織さんを大切にするのよ。」

 俺たちはお互いに顔を見合わせて、笑顔で声をそろえて「はい。」と答えた。

 「詩織さん、たまには家に遊びに来なさい。君のことはどうも他人とは思えんからね。」
 「あ、は、はい!ありがとうございます!」

 「それじゃあ、僕たちそろそろ失礼します。」
 「あら、もうお帰り?」
 「いいじゃないか。せっかくの夏休みなんだ。若者は色んな所に行きたいものなんだよ。」
 「それもそうね。ゆっくりデートしてらっしゃい。」