俺に下った処分は10日間の謹慎処分だった。
 父さんも母さんも自分の息子が停学になったことに驚いていた。

 島谷を殴った時のことを思い出そうとした。
 だけど、どれだけ考えても、あの時の心境を思い出すことはできなかった・・・。

 ナイフを見たら・・・、我を忘れた・・・。ただそれだけ・・・。

 それはおそらく、いや、間違いなく・・・、遥を目の前で殺された時のトラウマだった。

 何も変わっていなかった・・・。
 外側だけ取り繕って変わった気になっていただけだった・・・。
 心の奥底では犯人を憎む気持ちも、あの日を後悔する気持ちも、少しもなくなっていなかった・・・。

 詩織・・・、ごめん・・・。俺・・・、変われないかも・・・。