俺と詩織は教室で帰り支度をした後、校門に向かった。

 詩織は始終黙っていた。俺も何も言わなかった。

 下駄箱を出たところで立ち止まった。
 「勇治君・・・?」
 詩織が心配そうに俺を見た。

 「俺・・・・、あいつを・・・殴ったのか・・・?」
 詩織は黙ってうつむいた。
 「で、でも!仕方なかったんだよ!島谷君がナイフを出してて!それで・・・!」

 ・・・ナイフ・・・・。

 そうか・・・ナイフだ・・・。
 俺はあのナイフを見た時我を失ったんだ・・・。

 「ははは・・・・。ナイフか・・・。」
 「え?何?どうしたの?」
 「俺は・・・、何も変わっていなかったんだ・・・。」
 「ど、どういうこと・・・勇治君?」
 「ははは・・・。ごめん・・・、1人にしてほしい・・・。」

 俺は1人で校門の方へ歩いていった・・・。

 その後、父さんが車で迎えに来てくれた。俺はそれに乗って家に帰った。