「ところで、俺が死刑の話で暴走した時さ、黒板で何してたの?」

 「ん?あ~、真田君が言ったこと忘れないように黒板に書いておいたんだよ。」
 「えっ!?ちょっ!ちょっと!なんか必死にやってると思ったらそんなことしてたのか!うわぁ・・・、今更恥ずかしくなってきた・・・。」

 「気にしない気にしない!クラスの有名人になれたんだからいいじゃん!」
 「うわっ!ひでー!誰のせいだよ!」
 「あははははっ!」

 俺たちはまた笑った。

 今日は俺の人生にとって本当に大切な1日になった・・・。
 俺の人生に再び色が戻り始めたのかもしれない、そう思える1日だった・・・。

 柏木町の墓地に戻ってきた。朝倉が俺を見た。

 「今日はありがとね。次また後向きになりそうだったら私に言いなさい!回れ右させてあげますわよ!」
 「な~にを偉そうに~。そっちこそ、猪みたいに前ばっか突っ込んでたら落とし穴に落としてやる!」
 「えー!なんかひどくない?それー!」

 俺たちはまたまた笑った。

 「それじゃあね!」

 朝倉は石段を登って行こうとした。

 「あ、し、詩織!」

 朝倉は驚いて振り向いた。

 「詩織・・・、本当にありがとう!」

 朝倉は笑顔で軽く手を振った。

 「また月曜日にね!ばいば~い!勇治君!」

 石段を上って行く彼女を見送って、自転車に乗った。

 「勇治君・・・か・・・。」

 ニヤつきながら家路についた。