青葉北での高校生活は、あっという間に1ヶ月が経った。

 クラスのみんなも次第に仲良くなっていき、クラス内で同類同士のグループがいくつかできていた。

 俺はどこにも入る気はなかったし、入りたくもなかった。
 でも、進二が活発な男子達を集めてグループを作ってしまった影響で、そこに時々参加せざるを得なくなった。

 人間とは本当に面倒な生き物だ・・・。
 群れを作って、お互いを監視しあわなければ不安で仕方がないのか。それとも、形だけでも群れに入っておかなければ、仲間外れにされているように見られるのが嫌なのか。
 どちらにせよ面倒だ。所詮形だけの付き合いなのに・・・。

 冷めた目で馬鹿騒ぎをしている奴らを見ていると、井上先生が入ってきた。
 起立、礼の後先生が話し始めた。

 「皆さんの高校生活も、はや1ヶ月を過ぎましたが、どうでしょう、そろそろ高校の授業にもなれてきましたか?」
 慣れていないのは、むしろ先生のほうだと思いながら話を聞いていた。

 「今日は授業の前に席替えをしたいと思います。」
 先生は黒板に網の目を書き始めた。
 教室はざわついた。
 俺は席替えなんかに興味はなかったから、1時間目の英語の教科書を読んでいた。

 先生は網の目を書き終え、くじの入ったかごを取り出し、それをもってクラス全体を回った。俺たちは、かごからくじを1つずつ取った。

 「それでは、私の書いた番号と同じ席に移動してください。」
 先生は黒板に書いた網の目にランダムに数字を書き込んでいった。

 教室内はざわめきたった。

 「1時間目が始まるまでに移動しておいてください。」
 全ての数字を書き終えた先生は、そう言い残して教室を出て行った。

 さて、移動するか・・・。
 自分の番号を見た。7番。前から2番目の窓際だった。

 机といすを持って、ごった返す教室内をなんとか移動した。