藤村君はみんなを見渡して、大きくため息をついた。

 「はぁ~、お前らなぁ~、それを言うなら勇治に言えよ~。俺に言ったって仕方ねぇだろ~。」
 クラスのみんなが藤村君を見た。藤村君は笑っていた。

 「ったく仕方ねえなぁ・・・。それじゃあ、あいつが戻ってきたら俺から言っといてやるよ・・・・、このクラスの奴らはみんな最高の友達だってな!!」

 みんな笑顔になった・・・。教室には笑い声があふれた。
 みんなの嬉しそうな顔を見て、私も嬉しくなった。

 本当にいいクラスだよ・・・・、このクラス・・・。
 勇治君のことを、みんなが真剣に心配していたんだね・・・・。
 それは、勇治君がみんなから慕われる存在だったって証・・・。

 早く帰ってきてよ・・・、勇治君・・・。
 みんな・・・、あなたを待ってるんだよ!!

 「朝倉~、何座ってんだよ、お前だけ~。」

 そんな声が聞こえてはっとした。
 みんなの視線が私に集まった。

 「あっ、ご、ごめっ・・・。」
 そう言って、慌てて立ち上がろうとした時だった・・・・。

 目の前が突然暗転した・・・。
 あれ・・・・、体が・・・動かない・・・・。

 「あ、朝倉!!?」
 「詩織!?」

 声は聞こえるのに、みんながどこにいるのかは分からなかった・・・。

 私はそのまま意識を失った・・・。